book report

ねたばれを考慮する余地がありません

月の欠片 /佐々木禎子

月の欠片 (二見書房 シャレード文庫)

月の欠片 (二見書房 シャレード文庫)

発売日初日に買いに行ったのを覚えているんですが、そのままずっと積んでしまっていました。感動するおはなしや切ないおはなしは意図的に積んでしまいます、素敵だって分かっててもなかなか手を付けられないこの性分なんとかしたいです。

ほんとう素敵でした。
英俊のわがままがいっぱい詰まっていて、息苦しいほどに溺愛なんだけれど、ここまできたら好きなだけ愛を降り注いであげてもらいたいなぁ。
裕真が割と絆され気味に物語が進んでいくんだけど、絆された、というよりも理解した、という表現のほうが適切かしら? 英俊からの愛情を理解した。裕真が死にかけた理由は英俊のわがままだけれど、一命を取り留めたのも英俊のわがままのおかげだから。
闇が広がるお話だけれど、どこもかしこも優しさに包まれてたのが素敵でした。佐々木先生すごいなぁ……割とヘビーなはずなのに、優しい気持ちのまま読みきることができた。たまに苦しかったけど、裕真の優しさのおかげかな。英俊の優しさは閉鎖的だけど、裕真のはアガペーだと思う。
商業BLだからセックス含まないといけないのがもったいなかった。この文庫ではなく、先生の同人誌だとか、また別のところで読みたかったな! 麻生先生の挿絵が本当綺麗でたまらないんだけれど、特に表紙が綺麗で、英俊の闇をそのまま受け入れることができる裕真の優しさがよく感じ取れて、 その雰囲気そのままに、性愛にまで達しないところで愛が育まれてもありだったよなぁ~~~~どうしようもないのは分かっているから、こそ、ちょっと寂しかった。

闇と光が同時に主張する、綺麗な作品でした。出会えてよかった!

兄弟は恋人の始まり /鳩村衣杏

まじで三日坊主になってたので慌ててパソコン立ち上げました。やっぱりパソコン立ち上げるの面倒くさいわ。。。

兄弟は恋人の始まり (ルナノベルズ)

兄弟は恋人の始まり (ルナノベルズ)

鳩村先生の過去作。
んんん~~~~~あああ~~~~~めっちゃ萌えた~~~~~
だめですこういうのほんとうだめ、受けがきーきーから回ってる感じほんとうに……可愛い……耐えられない……こういう美人、すごく好きなんです。真面目に頑張ってていい奴なのに更にその上を行く天才に振り回される子。ちょっぴり残念系でうるさい感じの可愛い子。素晴らしい~~~!!!
ちょうがつくほど真面目でお固くて仕事に熱く人望も厚くめっちゃいい奴、だけど無口で何考えてるのかさっぱり系大型犬の瑳苗攻めもわたしのなかでのテッパン攻めでした。かっこいい~~~!!! 互いが互いに振り回されてそうなこの感じ堪らない……
タイトルどおり、互いの親の再婚が恋のきっかけになるんですが、まぁもともとが同僚のふたりで、ていうかその再婚自体もずっと受けに片思いしていた攻めの策略といいますか。。。ひとつ屋根の下の共同生活まで計画なんじゃあと思わせるほど。。。めちゃくちゃ重たいと思うんですけど、攻めのキャラクターがとてもさっぱりしているので、全然その重たさを感じさせないです。でも確実に束縛系です。ベタ惚れ過ぎる。。。いやほんとう確かにはじめくんかっこいいから瑳苗が惚れこんじゃうのも分かるけど。。。。ほんとうベストオブカップルだよありがとう可愛い。。。。
鳩村先生のお仕事BLはほんとう至高だな~~~~~ これほどまでにお仕事絡めながらラブしちゃうのが上手な先生、ほかにいらっしゃるだろうか??? このバランス、ほんとう絶妙で素敵。

そして千景子先生! わたし先生のイラストほんとう好きなんだよ~~~~~!!! ふたりの魅力いっぱいの挿絵で、キュンキュンとまらなかった……幸せ……泣く……特に最後の挿絵の、ふたりでいちゃいちゃ自宅で映画鑑賞会してるところ!!!! あれは反則だろう!!!! 鳩村先生がゾンビの描写とふたりのいちゃいちゃ描写を混ぜて書くところも重ねて反則。とてもとてもによによさせていただきました。うしろから抱っこが大好きな受けが可愛くてたまらないのでもっとそういう作品増えればいいと思います。

家族になろうよ /月村奎

この直前に宮緒先生の蜜家族を読んでいて、思っていた以上の鬱っぷりに動揺して、すぐ手元にあった、きっと間違いなくハッピーエンドであろう月村作品を手に取ったのですが
奇しくもともに「恵まれない家庭環境のなかひとりでたたかう心を閉ざした苦学生」受けであり、けれども方向性は右に進むか左に進むかの違い なんてもんじゃなく右に進むかそのまま宇宙船に連れられて宇宙の果てまで飛んでいくかくらいおはなしに差があって、 うっかり、BL界の多様性に感動してしまいました。
空くんが平凡にまっすぐで、いい子で、愛しくてたまらなかった。わたしだって空くんと同じ。就活の件で苦いこと思い出してしまいましたが、そこで隼人が肯定してくれたことで、空くんだけじゃなくてわたしも一緒にほっとしてしまった。空くんなんかよりわたしのほうがよっぽどかみっともないし、醜いよ~~~~ 空くんはいい子だよ……
これから堤家で充分に癒されて欲しいです。地域密着型の自営業一家にそのままポンとはいっていったら、周りの目があれこれ、これから大変だろうけど。堤家のあたたかさをもってすればきっと乗り越えられるね!月村先生の書くあたたかさは極上です。こころがぽかぽかする。消しゴムに名前書いてしまう、空くんの心が好き。空くんの気持ちを知ってから、じっくり誠実に自分と向き合って、真摯な答え方をする隼人の優しさがほんとう好き。お姉さまもお父さまも好き。ちびふたりもほんとう好き。
ほんとう素敵に優しい物語だった。空くんと一緒にわたしも癒してもらえました。わたしも就活でもっとちゃんと自分と向き合えばよかった。あの頃に戻ってやり直したとしても、あの頃の自分じゃあ何度やり直しても同じだろうけれど。就活と時期を同じくして、この本と出会っていたらば、また別なんだろうなぁ。
特別目新しい展開なんてないのだけれど、月村先生のいいところいっぱいつまった優しいご本に出会えてほんとうに幸せです。

明日が世界の終わりでも /榎田尤利

1年半以上の積読本を消化しましょうキャンペーンです。
largoと表題作以下関連作の詰め込み作品集。榎田先生が大好きで読みたくて発売日に買ったものの、痛いおはなしと聞いていたのでもぞもぞしたまま読まずに年月経ってしまっていました。

「largo」
音大生3人組のおはなし。六実が、まったく違うタイプの大学生ふたりの間でゆらゆらする、そんな印象受けました。
前原くんが、アヅマリシリーズの王子沢くんを思い出すタイプでした。王子沢くんはほんとういい奴で、当て馬にしておくのがもったいなさ過ぎて、ほんとう、伊万里なんかやめて王子沢くんにしろよ!!!!! って吾妻くんに何度も訴えたくなったけれど、 前原くんはこわい子だなぁと思いました。前原くんでスピンオフしたら、一穂先生のmeet,again.のようになるのかなぁ。
舞台そのまま、音をベースに物語が進んでいく、どこか怖いおはなしでした。暖色のすぐ裏に闇が広がるおはなし。榎田先生のおはなしはコメディであれなんであれ、闇と同居してるよなぁといつも思います。
六実が少しずつ成長していく過程はとても好きでした。ていうかやっぱり榎田作品好きです。

「明日が世界の終わりでも」
痛い、痛い、とレビューで聞いていた、 よりも痛々しさは感じられなかった。全体的にかなしくて、やっぱり闇が広がっているけど、「largo」よりもよっぽど優しさに満ち溢れてるおはなしだなぁと思いました。
愛って、すごいなぁ。玲治さんも望くんも悠一さんも、心が綺麗すぎるんだなぁ。城下さんは仲間にいれてあげないよ!!!!!!君はこの物語唯一の凡人だ
疵は隠すべきなのだろうか。見せる勇気はないのだけれど。みんなおかしい。けど、おかしくない。彼らのようになりたいとは思わないけれど、わたしも愛している、という無二の感情を持ちたい。憧れる。
狂気と紙一重の優しさをじっくり描いた作品は、榎田先生らしいなぁと思いました。やさしいやさしいおはなしだった。「集い」ラストの藤先生のイラストがたまらなく素敵だった。やさしさいっぱいだった。

先輩とは呼べないけれど /可南さらさ

先輩とは呼べないけれど (キャラ文庫)

先輩とは呼べないけれど (キャラ文庫)

ツンデレはいかん。ずるい。この子だめ、ほんとう、可愛すぎてだめ。潔癖のきらいがあるほど凛とした真面目でお固くて美人な子がツンとし てたのにぐずぐずメロメロになってるのが んも~~~~~~~~~~かわいい~~~~~~~ 誰か今すぐわたしの墓立ててちょうだい~~~~~~~

次なに読もかなって本棚眺めててこのご本が目に入ってあらすじ読んでみて(フィーリングで買ってるからあらすじ読んでない)(さらさ先生の作品で穂波先生が挿絵ってこと以外何ひとつ把握してない)(衝動買い極まれり)攻めのお名前が及川さんになってて、及川さんwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwなんかよれたイケメンってところがハイキューの及川さんと被るwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwて草育てながら読み始めたんだけど いや読み進めてからも及川さんwwwって印象は変わらないんだけど(いくらか除草できたけど)はじめずっとちらついて仕方なかったハイキューの及川さんはいつの間にかどこかに消えて、本来のストーリーにのめり込んでました。理人くん可愛い~~~~!!!!!
後日談では及川さんが始終でれでれしちゃっててほんとうもうリア充ありがとうございますでした。及川さん及川さんってわんちゃん状態の理人くんもう天使だから。ああいう真面目な子ほんとうタイプ……ツンデレは正義……

あと警察関係以外の公務員ものってすごく珍しい気がする。昔名倉先生の作品で読んだのは覚えてるんですが、それ以外になんかあったっけな……
わたしもなまじ公務員まがいのお仕事してるもので、ああいうストレスとはうまく付き合っていかねばならず。
「安定したお仕事つけていいよね」
「お役所仕事」
うんうん、よく言われる~~~~~!!!!
御用始めまでにはまだ日数あるのに、数々のお役所あるあるを思い出してしまってちょっと苦い気持ちになりました。「お仕事BL」と先生があとがきで綴っていて、「お仕事BL?」と自信なくしかけていらっしゃいましたけど、先生、しっかりとお仕事BLでしたので。わたしも月曜日からがんばります。作品の感想と関係なくなってるからこれでおしまい。