book report

ねたばれを考慮する余地がありません

バイバイ、ハックルベリー /一穂ミチ

 

 

一穂先生のご本はデビュー作から最新作に至るまで全部本棚に並んでるんですけど 諸事情で(こう書くと仰々しいな)この一年半くらい買っても並べるだけの状態が続いてて、 読んだことないやつ読むのはおかげで一年半ぶりでした。

ヒカリだった
ヒカリからヒカリだった。ヒカリって単語使わずに物語進めようとすると大変そうなほどヒカリだった。ほんと何するにもヒカリでどのページ捲ってもヒカリで もうヒカリいいってって思うほどには引っ張って引っ張って くっつくときにはヒカリとご対面できるかなと思いきや アッなるほど……一穂先生らしい結び方でした。
やっぱりわたしにとって一穂先生はすごく特別な作家さんだと改めて思った。久しぶりに先生の本を読んだから、余計にかしら。一穂先生のキャラクターって、等身大っていうかデコラティブじゃなくてソースと醤油で言ったら塩なんだけど なんだろ トゥルトゥルってはいってくる感じ……とても好き……
綺麗だなと思うのは、物語にあった比喩を使うところ。ヒカリとオセロと心理学と、テーマに合わせて言葉を選んでくるからすごくあっさりすっきり綺麗なのかな。構成組んだり書き進めていったりするのに勿論頭の中で物語を進めていくのだろうけど、一穂先生の頭の中では彼らはどう動いてるんだろう。会話の流れとそれに伴う行動があまりにも自然なのに、ちょっとこの物語の流れじゃないと使えないような比喩を挟んでて、 さらりと流れてしまいそうな表現ひとつひとつが印象に残る。しゅごい。
情熱的な恋愛じゃなくて、なんていうかもう好きにならざる得ない みたいな、運命とは本来こういうことを言うんじゃないかみたいに思った。