book report

ねたばれを考慮する余地がありません

嘘つきは親子のはじまり /小中大豆

嘘つきは親子のはじまり (白泉社花丸文庫)

嘘つきは親子のはじまり (白泉社花丸文庫)

疑似親子? 不幸極まりない真くんが不幸そのままに犯罪行為に巻き込まれ、そこからめくるめくシンデレラストーリー。
恋を知らない朴念仁な真くんが、知らず知らずに一目惚れしていた葉室御大を騙すことになる~くだりがとてもかわいそうでした。真くんほんとういい子だから……もうほんとうふざけんなよってブッチしてもいいだろうに、達観して諦めきって、絶望しながらも腐った実母に従う描写が一番くるしかった。
最後葉室さんが母親その他を懲らしめてくれた、けれども!もうちょっと!もうちょっと痛めつける方法はないのかいね! と憤慨。それくらい真くんいい子なんだよ~~~全然あの子空気読めない天然ちゃんなんかじゃないから……
真くん、今までほんとうよく頑張ったんだから葉室さんにたっぷり癒されて欲しい。あと後日談するとしたら律子さんがいいスパイス役やってくださるんじゃないかしらとによによしてます。アッ そういえば先生のこの作品の同人誌買ってるわ 読む

猫の国へようこそ /杉原理生

猫の国へようこそ (幻冬舎ルチル文庫)

猫の国へようこそ (幻冬舎ルチル文庫)

なんでこんなに可愛いの。

何もかもが可愛い。透耶可愛い。ちびたち可愛い。みんなほんとうに可愛い。
サマタ先生のイラスト効果も半端なくよかった。ベストマッチすぎました。可愛い。可愛い。ほんとうに可愛い。まっすぐな透耶が可愛い。おずおずと遠慮がちに、それでも凛と張っててうつくしい。
包容力のある攻×素直な子受を立て続けに2作読むことができて、わたし、新年早々晴れやかな気持ちです……ラブって素晴らしい……

トワと透耶、のキーワードから、きっと「透耶」の存在は猫のトワで、人間の透耶とあれこれあったせいで自分がネコであると思い込んでしまったのだろう、そして透耶の姿に化けてしまったんだろうって読んでたんですけど思い切りはずれました。最近読みがはずれることが多くてとても嬉しいです。
トワと透耶の、それぞれを想う優しさがたまらなく切なかった。きれいだなぁ。紀理さまとちびたちと一緒にいることを選ぶことで、これから人界のあれこれの始末をしていかないといけないんだろうなぁと思いました。今は大学にも通うことができてるけど、人ではなくなるのだから、おいおい何かしらと別れるときがくるよね。何かを選ぶということは何かを選ばないということだ、という当たり前のことを考えさせられました。
選択って難しいよなぁ。でも、恋を前にしてしまったら、正常な選択ってできなくなるし、結局のところなにが正常であるのか分からないよなぁと謎の哲学に埋まるのを避けるために、もう一度ぱらぱら読みかえそうと思います。

サマタ先生の描く子たちほんとう天使……まじなんなの……ふわっふわでかわいい……人間や猫をおいしそうと思う性癖はないはずなのに……

恋する花嫁候補 /名倉和希

あけましておめでとうございます。

去年はなかなか読書の進まぬ一年で、かつ勉学もいま一歩、なにもかもがぐずぐずで大変もったいない時間の使い方をしてしまいましたので、今年は日々を計画的に過ごすことを目標としてかしこく時間を使っていきたいと思います。
せっかくこのブログを開設したってのにほとんど活用しなかったせいで、生きる喜びでもある読書が薄味になったのを反省しています。あと、今年はもっと先生方にお手紙を送りたい! ツイッターやこのページでやんややんや吐き出すだけじゃなくて、きちんとこの感動その他をお届けしたいなぁ。
勉強にダイエットに嫁入り準備に薦めていくなか、どれだけのことをこなしていけるか分かりませんが、意気込みだけは十分に、まずはたった今しがた読んだご本のレビューにうつります。

恋する花嫁候補 (リンクスロマンス)

恋する花嫁候補 (リンクスロマンス)

名倉先生の、先月末の新刊!
先生らしい、純情無垢で可愛い男の子でした。新年初癒されしました……先生ほんとうにありがとう……
春己くん視点で進んでいくから、ほんとう、加納さんプロデュースのシンデレラストーリーで、秀人さんが善人改心系か!? と思ったらそうじゃなかった。加納くそくらえだった。
ほんとう春己くんがすれてなくて可愛いんだよ~~~ 愛しいんだよ~~~ 秀人さんが動揺するのも無理ないよ~~~ でも、殆ど手を出す前に、同性婚を決意しちゃう秀人さんの思い切りにはびっくりした
どのページを開いても春己くんいいこだから、疲れた時に手に取ってぱらぱらするには最適だなと思った。秀人さんが癒しだって言って毎晩お相手しちゃうのも無理ないよ。そりゃ甘いチョコレートだって喜んで食べちゃうよ。おねんねしちゃったら優しく頭撫でたくなるよそりゃあそうだよだって春己くん可愛いもの~~~ 吉川さんにだって嫉妬しちゃうよ~~~
千川先生のやさしいイラストによく似合うストーリーだった。後日談の春己くんが微笑んでるイラストはほんとう…地上に舞い降りたエンジェル間違いないですわ……

それはおまえが童貞だからです /凪良ゆう

凪良先生のコメディを年単位で待ってたわたし。

それはおまえが童貞だからです (幻冬舎ルチル文庫)

それはおまえが童貞だからです (幻冬舎ルチル文庫)

あーもー本当楽しかったー!!!!!
凪良先生の初恋姫全ての恋は病からとが大好きで、(もちろんしっとりシリアスも大好きだけれど、それ以上にやっぱりコメディが至高で)ずっと待ってて ほんと 待ってて
待っててよかったー あー 楽しかった!!!!

軽率に恥ずかしい方向に突き進むところが好き。思わず声に出したくなっちゃうようなテンポのいい応酬が好き。ナチュラルに超展開なのが本当好き。あと自由人×真面目系ツンデレってのがわたしのどツボなので本当にどうもありがとうございました。
往来で童貞その他諸々連呼の言い争いが楽しかった。あのノリの良さとても好きだ。二度三度重ねてくるのは本当ずるい。めちゃくちゃ面白い。でもその代わりにそういうところでページ数食ってしまって、ちょっと物足りない。できればもう3倍くらいじっくりこのふたりを書いてほしい、なんなら何巻も続けてくれて構わない  って本気で思うほどに楽しいふたりでした。高校生時代もそうだし、世取さんの過去もじっくり読みたかった。経々さんとのお花畑組も可愛くて可愛くて、魅力が詰まりすぎて困っちゃう一冊でした。

これ新垣くんと経々さんとのスピンオフでないかしら

初恋の諸症状 /海野幸

初恋の諸症状 (二見書房 シャレード文庫)

初恋の諸症状 (二見書房 シャレード文庫)


"久我の側にいると気分が高揚し、離れると落胆するのは躁鬱。胸が苦しくなるのは狭心症――。
原因不明の病の正体が「そういう意味」での恋だと気づいた中学卒業間際、久我はすでに皆の人気者だった。
一世一代の覚悟を決めて書いたラブレターは想い人に渡ることなく、初恋をこじらせたまま製薬会社の研究職に就いている秋人。
連絡を断って十年。その久我がなんの前触れもなくMRとして転職してきて、「お前俺のこと好きだろ?」って――!?"


このあらすじの、「お前俺のこと好きだろ?」
ってセリフをまさか200ページも待ち続けることになるとは思いもよりませんでした。


いや本当にびっくりした。あらすじ読んだとき、アー、あれだな、忘れられない初恋の人がいる、て綴ってるまさにその時に転職してきて偶然再会して、やっぱり久しぶりに会った今でも大好きで、それがすぐにばれて「お前俺のこと好きだろ?」って自信満々に指摘されて更にはフラれて(もしくはそれに近い状態になって)呆然としながらお互い距離とりつつ物語が進んでって、紆余曲折あって起承転でころりと転がる頃にはその自信満々くんのほうこそがベタ惚れ状態になっちゃって~的な感じ?? って海野先生が描いてくれそうなおはなし想像して読んでたんだけどマルっと裏切られた。びっくりした。まさかあらすじの、『その久我がなんの前触れもなくMRとして転職してきて、「お前俺のこと好きだろ?」って――!?』の、転職してきて、から、「お前俺のこと好きだろ?」までに180ページ進むとは思ってもいなかった。なんて斬新なあらすじなんだ。時代先取りしすぎなんじゃないか!?こんなあらすじにもなるほどの大事なセリフをどこかで読み落としたのかと何回も立ち戻ったし、もしかしてあらすじ読み違えたんじゃないかとあらすじを何度も読みかえしたりしたぞ!!?!なんかウォーリーを探せをしてる気分になれて楽しかったけど ウン あらすじは『その久我がなんの前触れもなくMRとして転職してきて――!?』で切ってよかったんじゃないかな!!!!

よくよく考えれば前作の攻めが「お前俺のこと好きだろ?」って序盤でフフンと指摘しそうな子でしたわ……

中身はめちゃくちゃ面白かったです。やっぱり海野先生はわたしの癒しだ。そこに七つ生先生の挿絵とかもおおおおおおおおほんと一生大事にする……海野先生の作風と七つ生先生の作風ほんと合う……
背中に定規ぶっ刺してんじゃないかってくらいピンとまっすぐな秋人が可愛くて仕方なかった。まっすぐなひとっていい。対する久我さんも、あらすじ読んだ時点では遊び人だと思ってたし中盤までそう匂わせてたけどそんなことなかった…好青年すばらしい……
どっちも可愛い。どっちも好ましい人となりで、心地よく読めた。海野先生の作品はどれもこれも優しい。読んでて安心する。登場人物に、まっすぐで優しい人が多いからかな?見た目やシチュエーションで恋をするんじゃなくて、コミュニケーションのひとつひとつでじっくり感情が生まれてく様子をおおめに描いてくださってる気がする。海野先生が優しくて、まっすぐな方なんだろうな。
また一冊、一生手放すことのできない海野作品が増えてしまいました。


幻聴の原因のくだりにはどきりとした。わたしが人を信じれない、何を言われてもその言葉の裏を考えあぐねてしまい、ひとり勝手に一喜一憂する特技を持ってるので。
久我さんは秋人みたいなひとと出会えてよかったね。原因も秋人さんだけどね。ここで、久我さんみたいなひとに秋人さんを出会わせてあげるのが、海野先生の優しさだよなぁ。