book report

ねたばれを考慮する余地がありません

月の欠片 /佐々木禎子

月の欠片 (二見書房 シャレード文庫)

月の欠片 (二見書房 シャレード文庫)

発売日初日に買いに行ったのを覚えているんですが、そのままずっと積んでしまっていました。感動するおはなしや切ないおはなしは意図的に積んでしまいます、素敵だって分かっててもなかなか手を付けられないこの性分なんとかしたいです。

ほんとう素敵でした。
英俊のわがままがいっぱい詰まっていて、息苦しいほどに溺愛なんだけれど、ここまできたら好きなだけ愛を降り注いであげてもらいたいなぁ。
裕真が割と絆され気味に物語が進んでいくんだけど、絆された、というよりも理解した、という表現のほうが適切かしら? 英俊からの愛情を理解した。裕真が死にかけた理由は英俊のわがままだけれど、一命を取り留めたのも英俊のわがままのおかげだから。
闇が広がるお話だけれど、どこもかしこも優しさに包まれてたのが素敵でした。佐々木先生すごいなぁ……割とヘビーなはずなのに、優しい気持ちのまま読みきることができた。たまに苦しかったけど、裕真の優しさのおかげかな。英俊の優しさは閉鎖的だけど、裕真のはアガペーだと思う。
商業BLだからセックス含まないといけないのがもったいなかった。この文庫ではなく、先生の同人誌だとか、また別のところで読みたかったな! 麻生先生の挿絵が本当綺麗でたまらないんだけれど、特に表紙が綺麗で、英俊の闇をそのまま受け入れることができる裕真の優しさがよく感じ取れて、 その雰囲気そのままに、性愛にまで達しないところで愛が育まれてもありだったよなぁ~~~~どうしようもないのは分かっているから、こそ、ちょっと寂しかった。

闇と光が同時に主張する、綺麗な作品でした。出会えてよかった!